縄文愛より、世界遺産登録愛


「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録されてから今日で1年

という話を、テレビのローカルニュースで耳にして、思わず苦笑。


弊社・新函館ライブラリでは、地元の縄文研究家である

佐藤国男氏の縄文本を2点刊行しているが、

「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録されるや否や

その縄文本が、ぴたっと売れなくなってしまったのだった。


もとより、それほど販売数が見込めないことは百も承知の上での刊行であったが、

もし世界遺産登録が実現したなら、その効果も手伝って

結構売れ出すのではないか、という甘い期待もなくはなかったが、

見事にその逆を行ってしまったのだ。


それにしても、この「現実」とやらは、何を語っているのだろうか。


以下は私の勝手な推論なのだが、


地元の人々が世界遺産登録を切望していたころは、

「当の私たちが、縄文のことに無知であったら恥ずかしい」

というような気分から、せめてもの勉強のため

地元発行の縄文本でも読んで勉強すべし

みたいな気分が、販売をわずかながらも後押ししていたのかもしれない。


しかし、世界遺産登録が実現したなら、

以前のような努力も勉強も必要がなくなる。

もとより縄文についてなど何の興味もなくて

「世界遺産」というタイトルが欲しかっただけ。

自然の成り行きとして、縄文への興味も一気に消え失てしまった…

などという

日本人にありがちな、大学に合格した途端、勉強をしなくなる的な性癖が

如実に現れたということなのかもしれない。