大丈夫か、外国人墓地
天気の良かった一昨日の昼。
「柵が撤去されている。写真を撮るなら今だ」
との緊急連絡を受け、函館は船見町、外国人墓地に馳せ参じた。
現場は写真を見ての通り。
傍らには「外国人墓地内石碑移設工事を行っています」の看板が。
てっきり、この「石碑移設」とやらのために、
一時的に柵が取り外されたのだと思ったのだが、
それにしても、どの石碑を移設するのか。
石碑というのだから、墓石ではなく、
墓地内にある「ペリー来航100年記念碑」のようなものを
移設するのだろうか…
えいっ、と思い即座に函館市観光部観光企画課に電話を入れた。
何せこの工事の発注者は観光部観光企画課、と看板にある。
実はこの外国人墓地、正確にはプロテスタント墓地を管理しているのは
キリスト教会ではなく、函館市なのである。
担当者の回答をかいつまんで書くと、
・移設されるのは、墓地の説明板に向かって左側の3基と右側の1基の計4基
・移設といっても大幅に動くのではなく、ほんの少し(確か30〜40センチ程度と言ったような)
・なぜ移設するかというと、フェンスが取り払われることになったから
現状だと4基は道路に近すぎるので、道路と距離と置くため
ええっ、フェンスが取り払われるということは、この撤去は一時的なものでなく
これからずっとフェンスのない状態が続くのか
との質問を浴びせると、
・その通りである
と返ってきた。
そしたら看板の表示は、本末転倒きわまりない。
主は「フェンスの撤去」であり、そのために必要と思われる措置が石碑移設だろうに。
石碑というが、はっきり墓石と表示すべきだ。
何せこの4基のうち2基は、
函館外国人墓地の発祥となった、ペリー艦隊の客死した水兵2名の墓なのだ。
貴重な歴史の生き証人であるし、
そもそも人様のお墓である。
後世の都合で勝手に動かす、なんてのは故人に申し訳ないと思わないのか。
要するに、この看板はごまかしに満ちている。
老朽化したフェンスを取り替えるのは金がかかるし、
取り替えたら維持費もかかる。
ならいっそ、フェンス全面撤去がいいだろう。
てなあたりが本音ではなかろうか。
電話に出た担当者も、私の質問である「石碑移設」の内容を説明した後、
「それだけですか? 他に何か、疑問点だとか、おっしゃりたいことはないですか」
と、やぶ蛇のような念押しをしていた。
つまり、異議を唱えられることに、担当者はびくびくしているのだ。
(函館市民のみなさんはどんどん、同じような質問の電話をかけてみてください)
フェンスを撤去したら危ないに決まっている。
150年ほど経った墓石だらけで、
自由に入られたら倒壊の危険も生じるだろうし、
重要な歴史遺産の継承という意味でも大いに問題あり。
冬場は除雪車が入るくらいの場所だから、
柵なしでは除雪で雪を道路の傍らに押しやることの影響が
「石碑」にものしかかりはしないか。
そういう懸念をいだきながらも、とりあえずは厄介者のフェンス除去
市民から文句が出ないよう、看板は本質をごまかして表示せよ。
これが「洋の兄です」で選挙戦に圧倒的勝利を得た函館の新政権の正体ってやつですかね。
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